【育児中の膝の痛み】その原因と理学療法士的ケア方法まとめ

育児中の膝の痛み・・・
悩まれている方も、多いのではないでしょうか?

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階段、立ち座り、あぐら、歩行など、生活の様々な場面で感じる膝の痛み。

  • 自分の膝はどうなってしまったのか
  • いつまで辛い痛みが続くのか

そんな不安を少しでも解消できるように、育児中の膝の痛みの原因と対処法についてまとめてさせていただきました。

最後に、育児中の膝の痛みに悩まれた方のリハビリについても紹介させていただいています。

育児中に膝が痛くなる原因は?

まずは育児中に膝が痛くなる原因から、確認しておきましょう。

リラキシンの影響で関節がゆるくなっている

妊娠初期から出産後にかけて、骨盤を中心に関節をゆるませる作用を持ったリラキシンというホルモンが分泌されます。

ゆるくなった関節は不安定な状態ともいえるので、安定性を高めようと周りの筋肉はこわばり、おもだるい痛みを感じるようになります。

関節の不安定さを筋肉が補いきれなくなると、関節や周りの靭帯などに傷がついてしまい、その結果『しゃがむと痛い』、『階段を降りる時に痛みを感じる』といった症状が出てくるケースもあります。

※しゃがむのがつらい、階段がつらいという方は、下記の記事で詳細にまとめています。
『膝裏がしゃがむと痛い…』自分で解決できる?【専門家の徒然】
【膝の痛み】階段を降りるときがつらい!対処法のすべて
【膝の痛み】階段を上るときが辛い…⇒これだけ試してみて!

カルシウム不足により軟骨のクッション機能が衰える

母乳育児の場合は、赤ちゃんにママのカルシウムを与えることに・・・。

ママのカルシウムが減少すると、意外なことに軟骨にカルシウムが沈着して固くなり、軟骨のクッション性が失われてしまいます

そのため衝撃の吸収機能が低下し、関節への負担が大きくなっていきます。

【カルシウムに関する補足】

成人女性の9割以上がカルシウム不足を指摘されているので、特に産後のママは意識的に摂取するように心がけることをお勧めします。

また厚生労働省のカルシウムに関する情報を見ると・・・

カルシウムの摂取量が充分であったとしても、ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が悪くなり、また運動などである程度骨に負荷をかけておかないと利用効率が低くなってしまいます。

引用元:e-ヘルスネット

このように書かれています。

なので、ビタミンDを多く含む、魚類・卵・キノコ類などを摂取する事も大切で、特に魚類はカルシウムも一緒に摂取できるのでお勧めの食材になります。

あとは、ウォーキングなどの程よい運動も大事ということですね。

日常生活が膝への負担になっていることも多い

赤ちゃんが生まれると、日常生活にも大きな変化が起こります。

ただでさえ、歩行の場合は膝に体重の3~5倍の負担が、床から立ち上がる動作では体重の4~5倍もの負担がかかるといわれています。

それを赤ちゃんを抱っこしながら行うとなると・・・かなりの負担ですよね?

4kgの赤ちゃんなら12kg以上、5kgの赤ちゃんなら15kg以上の負担が、膝に余分に加わることになります。

また産後はママの体重も妊娠前より増えていることが多いので、その点でも膝には大きな負担がかかってきます。

産前と同じように動いていた場合、膝を痛めてしまう可能性が高いということです。

他にも授乳中は、床に座ることも多いかと思います。

その際、正座をしていれば膝への負担になりますし、横座り(女性座り)など崩れた座り方をしていた場合は体が歪んでしまいます。

この歪みが、膝の痛みを助長してしまうこともあるでしょう。

中には、『運動不足を解消しようと縄跳びなどを開始した結果、膝を痛めてしまった』という方もいらっしゃいます。
出産後半年ほどは、関節がまだまだゆるい状態。激しい運動は関節に良くありません。
運動を始める際は、軽めのストレッチ・筋トレ・ウォーキング等から開始することをお勧めします。


このように、育児中は生活の中の様々な場面に膝を痛めるリスクが潜んでいます。

気付いたときにできる範囲で注意することが、膝への負担を減らす第一歩です。

※具体的な対処法は、下記でまとめています。

ホルモンバランスの乱れが膝の炎症を助長している

ハッキリした見解は出ていませんが、ホルモンバランスの乱れが膝の痛みと関係しているという見方もあります。

副腎皮質ホルモンは”ステロイドホルモン”とも言われ、炎症を沈める作用があるのですが、その副腎皮質ホルモンの分泌を促す”コルチコトロピン放出ホルモン”の分泌が、出産後急激に減少することがわかっています。

また同様に炎症を抑える作用がある”エストロゲン”というホルモンの減少も確認されています。

その為、膝の些細な炎症が大きくなってしまい、痛みをより感じやすくなるという見解が、今のところ有力です

ストレスや不安からうつ状態になっても、副腎の機能が低下してしまうことがわかっています。産後のうつになってしまった方などは、さらに痛みに敏感になっている可能性があります。

症状がひどいときに疑うべき病気

稀なケースですが、出産後に”膠原病(こうげんびょう)”にかかってしまう方も中にはいらっしゃいます。

代表的なものは関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど。

  • 関節のこわばりがひどい
  • 全身の関節に痛みがあって、熱を持ち腫れている
  • ほっぺに蝶々(ちょうちょ)のような赤みがある(蝶形紅斑:ちょうけいこうはん)

などの全身症状が続く場合は、病院でしっかりと原因を特定してもらうようにしましょう。


出産による体の変化からくる膝の痛みから、日常生活によるものまで、育児中に膝を痛めてしまう背景はとても複雑です。

次は、膝関節にいったい何が起きているのかを確認しておきましょう。

膝の状態をなんとなく予測しておくことで、少し安心できるかもしれません。

育児中の膝の痛み:関節にはなにが起きているの?

膝に痛みを抱える方は、様々な動作に支障が出ていると思います。

次は、それぞれの動作に注目し、関節に何がが起きているのかを確認していきましょう。

階段を降りるときに膝が痛む場合

階段を降りる時に、膝に痛みを抱えている方が大勢いらっしゃいます。

この場合、膝関節を守る筋肉や靭帯が傷ついていて、階段を降りる際、その部分に負担がかかっている可能性があります。

階段を昇り降りする際の膝の痛みと、その対処法については、以下のリンク先で詳細にまとめています。

【膝の痛み】階段を降りるときがつらい!対処法のすべて
【膝の痛み】階段を上るときが辛い…⇒これだけ試してみて!

しゃがむと膝が痛む場合

この場合は、”膝関節のズレ”が原因の1つとして考えられます。

関節のズレを防ごうと周りの筋肉が固くなり、膝の運動を邪魔してしまうことがあります

しゃがみ動作と膝の痛みについては、こちらで詳細にまとめています。

『膝裏がしゃがむと痛い…』自分で解決できる?【専門家の徒然】

赤ちゃんを抱っこすると膝が痛む場合

偏った抱っこをしていると、左右どちらかの足に体重が集中します。

そのせいで、片方の膝に負担が集まって、痛みを感じるようになります。

抱っこと膝の痛みに関しては、こちらの記事で触れさせていただいています。

【膝の痛み】悩める保育士さん集まれ!専門家が解説します

床や椅子から立ち上がるのがつらい

この場合は、膝に上手に体重が乗っていない可能性があります。

立ち上がる時、どこを最初に動かすのか

など、楽に立ち上がるためのコツはこちらでまとめています。

【膝の痛み】立ち上がる時つらい・立てない⇒有効な3つのコツ

膝裏が痛む・音が鳴る

この場合は、膝関節のズレや関節の中の損傷が考えられます。

それぞれ下記の記事で詳細にまとめていますので、よければ参考にしてください。

【変形性膝関節症の膝裏の痛み】本気で治したい方へ 
【膝痛がある・ギシギシ音がする】まずはこちらを見てください 

次は、育児中の膝の痛みの対処法について、見ていきましょう。

育児による膝の痛みの対処法

膝の痛みを悪化させないための、生活様式や体のケア方法を紹介させていただきます。

まずは膝への負担が少ない生活様式を心掛ける

基本的には、和式よりも様式の生活スタイルを心掛けましょう。

  • 寝る際は布団よりもベッド
  • トイレは様式を利用
  • 床ではなく椅子に座る(膝よりもお尻が低い椅子は避ける)
  • 散歩はベビーカー・買い物はカート
  • 掃除もモップなどなって行えるものを使用
  • 全屈しなくていいように、ベビーベッドなども検討する
  • 靴はヒールやパンプスよりも、底が柔らかいスニーカーを選ぶ
  • スリッパは足の指に力が入るので、なるべくはかない
  • 重い物を片方の腕ばかりで持たない
  • 足はなるべく組まない
  • 姿勢を小まめに変える
  • 床に座る際は正座は控え、あぐらを心掛ける

生活の中で『ハッ!』と気づいたときに、修正してみてください。

ストレッチ・マッサージ・筋力トレーニングで体のケア

こわばった筋肉をほぐしたり、膝を守る筋力トレーニングをすることも大切です。

育児中の膝の痛みにオススメのストレッチ・マッサージ

意外かもしれませんが、【腰 → お尻 → 太ももの外側】のラインの筋肉はつながっていて、そのラインが固くなると、膝をスムーズに動かせなくなってしまいます。

膝そのものをストレッチするよりも、腰周りからお尻にかけてのストレッチをしてあげると、膝が楽になることが多いです。

具体的には・・・

①腰をしっかり丸くするストレッチは腰痛にも膝にもお勧めです。

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30秒ほど、この姿勢を保ってみましょう。

昔はすんなりできたのに、今やると意外とつらいのではないでしょうか?

②腰の筋肉とつながる、お尻の筋肉も伸ばしておきましょう。

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30秒ほど、心地よい程度で伸ばしてみてください。

③最後に、太ももの外側を気持ちが良いくらいで、マッサージします。

もしも、しゃがむ動作がつらい場合は、この3セットを実施した後、ゆっくりしゃがんでみてください。
少しでも痛みが軽くなっていれば、継続してみることをお勧めします。


産後のママは、妊娠中のお腹を出した姿勢が身に付いているので、反り腰気味で腰痛を訴えることも少なくありません。

膝のケアにもつながるので、腰の筋肉をほぐしてあげることも必要です。

育児中の膝の痛みにオススメの筋力トレーニング

ありきたりですが、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という太ももの前の筋肉を鍛えることが大切です。

【大腿四頭筋の筋トレ】
①足を伸ばして座ります

②膝の下にクッションや丸めたタオルを入れます

③そのタオルをつぶすように膝を伸ばす力を入れます

④5秒ほど力を入れて休憩、それを10回繰り返します

【大殿筋・内転筋の筋トレ】

また、股関節と膝の安定に関わる大殿筋(だいでんきん)と内転筋(ないてんきん)という筋肉も、しっかり鍛えておくとベターです。

①あおむけに寝ます

②両膝を立てて、かかとをお尻に近づけるように膝を深く曲げます
(できるだけでOKです)

③そのままお尻を持ち上げていきます

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④持ち上げた状態で5秒ほど保ち、ゆっくり下ろします

⑤お尻の筋肉が固くなるのを感じながら、10回ほど繰り返してみてください


どの筋肉も、歩いたり立ち上がる際には欠かせない筋肉です。

食事面にも配慮する

食事面もホルモンを整えたり、疲労を回復するという意味では大切な要素になります。

肉類・魚類などに含まれるたんぱく質は、ホルモンの材料になります。

栄養素を運搬してくれるビタミン類も大事なので、野菜やフルーツも積極的に摂取しましょう。

また魚や海藻類からカルシウムを摂取するとともに、その吸収を促すビタミンDを含んだ卵やキノコ類も合わせて食べるように心掛けてみてください。

他にも大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンと似た働きをするといわれているので、関節の炎症を抑えてくれる作用にも期待がもてます。

不安・ストレス・疲労を溜めないように

ストレスや不安は副腎の機能を低下させ、鎮痛作用のあるホルモンの分泌量減少につながります。

またストレスは、脳内物質で鎮痛作用のある”ドーパミン”の分泌も減らしてしまうことがわかっています。

ご両親や旦那さんの助けを借りて自分の時間を作るなど、少しでも気分転換ができることが痛みの軽減につながります

ストレスと膝の痛みの関係については、こちらでまとめています。

【膝の痛みとストレス】どう向き合う?⇒実例を紹介します


育児中の膝の痛みの原因はたくさんあるので、対処方法もそれだけ複雑になります。

全て完璧にこなそうとしてもストレスになるだけなので、ご自身に当てはまるものだけもピックアップして実践してみて下さい。

最後に、実際に膝に痛みを抱えた患者さんに対して、リハビリをさせていただいたときの様子を簡単にまとめておきます。

症例さん報告:『しゃがむと膝が痛い!』育児中に膝の痛みを訴えた方のリハビリ

この方は『しゃがむと両膝が痛い』ということで、リハビリが開始となりました。

身体を診させていただくと、腰からお尻、太ももの外側にかけての筋肉のこわばりが強く、軽い腰痛の訴えもありました。

実施したリハビリは、とてもシンプルです。

バランスボールで、腰からお尻の筋肉をゆるめる

バランスボールを用意して、患者さんにはそれに抱き着くようにもたれてもらいます。
完全にバランスボールに体重を預けて力を抜いてもらったら、そのままゆらゆらと1分ほど揺れていただきました。

次に股関節を開くストレッチをしながら、ここでも腰を丸めて緩めていきます

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このような姿勢でまた少し体を揺らしてもらいます。

最後におしり歩きを実施

足を伸ばして座ったまま、お尻で前進と後退を繰り返します。
(おしり歩き)

この3つをやり終えてから、ゆっくりしゃがんでみるようにお願いすると、最後までしゃがむことができました

よくよく考えれば単純なことで、腰やお尻の筋肉は体を反る筋肉になります。その筋肉が固ければ、当然しゃがむといった丸まる動作はやりづらくなりますよね?

腰や股関節の動きが不十分になれば、『それだけ膝が頑張らなければしゃがめない』ということになります。


膝が痛む場合、そこばかりに目が行きがちになります。
しかしその原因が、腰や股関節の固さにあることもあるんですね。

産後に腰のハリや腰痛を感じる方は、全体の60%にも及ぶといわれています。
腰の違和感は膝の痛みとも関係していることが多いので、気になる方はぜひ試してみてください。

まとめ:育児と膝の痛みについて

産後の関節のゆるさやホルモン等の影響は、自分ではどうすることもできない部分です。

なので・・・

  • 膝に負担がかかる動作を見直す
  • 関節を守る筋肉を鍛える
  • こわばった筋肉をほぐす
  • ストレスを発散する

これらのケアを取り入れながら、徐々に痛みの軽減を目指していくことが基本的な対処法になります。

まずは心当たりがある部分からでも、実践してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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