『膝裏がしゃがむと痛い』
そんな方は、意外と多いのではないでしょうか?
「膝裏が痛い → 何とか生活はできているので病院へ行くほどでもない → でもやっぱり痛い → どうしよう・・・」
そんな悩みのループに陥っている方に向けて、理学療法士が思うことをまとめさせていただきました。
- 膝裏の痛みは自分で対処できるの?
- それとも病院へ行った方が良いの?
その答えが、きっと見つかると思います。
しゃがむと膝裏が痛い!まずは原因をハッキリさせましょう
しゃがむと膝裏が痛む原因と特徴をまとめていきます。
しゃがむと膝裏に違和感を感じる(筋肉・リンパの影響かも)
『しゃがむとなんとなく膝裏が腫れぼったい・・・』そんな方は、筋肉のこわばりやリンパの腫れなどが影響しているかもしれません。
膝裏の筋肉がこわばることによる違和感
膝裏は筋肉が多く集まる場所です。
ふくらはぎの筋肉や太ももの後ろの筋肉などもここに集結します。
引用元:ネッター解剖学アトラス(原著第3版)P498 株式会社南光堂 著者:Frank H.Netter
しゃがむ時はこの小さなスペースが圧迫されることになるので、筋肉がこわばっていたら、窮屈そうですよね?
特に気にしてほしい筋肉はこの3つです。
- 腓腹筋(ひふくきん)
- 膝窩筋(しつかきん)
- ハムストリングス
腓腹筋はつま先に体重がかかった時に固くなるため、前方に重心をかける癖のある方は固くなっていることが多いです。
またヒールを履く方はどうしてもつま先重心になるので、膝裏を痛めてしまう方が大勢いらっしゃいます。
関連記事:【膝の痛み】ヒールがつらい…履き続けたい方は必読です!
関節に近い部分にある筋肉なので、筋力低下で膝が不安定な状態であったり、スポーツや転倒などで膝がズレそうになった時に関節を守ろうと固くなることがあります。
とっても小さな筋肉ですが、膝関節の安定性を保ってくれる大切な筋肉。
膝窩筋が固くなっている方は、知らず知らずのうちに膝に負担が蓄積されているのかもしれません。
ハムストリングスは膝を曲げるときに働く筋肉ですが、膝をズレないようにコントロールする作用もあります。
膝窩筋と同様、膝が不安定性だと、固くなって関節を守ろうとすることがあります。
実際、リハビリで関節を安定させてあげると、筋肉がスッと緩むことも多々あります。
膝裏のリンパが腫れることでの違和感
膝の裏には”膝窩リンパ節”というリンパ液の溜まり場があります。
血管であれば心臓のポンプで何もしなくても循環してくれますが、リンパは心臓の作用では循環しません。では何で循環を促しているのかというと、”筋肉”です。
先ほど紹介させていただいたふくらはぎの筋肉がこわばってしまったり、また運動不足で筋肉そのものを使わなくなってしまうと、リンパの循環も滞ってしまいます。
⇒その結果、リンパ液が溜まって腫れてしまうということです。
リンパが原因の場合、膝裏はそこまで痛むことはりません。
特徴的なのは『なんとなくジンジンする』という違和感がよく見られることです。
しゃがむと、あるところで急に強い痛みが…(半月板が悪さしてるかも)
『途中まではスムーズに曲げられるのに、あるところで急に強い痛みが出る!』
そんな場合は、半月板(はんげつばん)の挟み込みといわれる現象が起きているかもしれません。
半月板は本来関節の中にあるものなので、膝裏で悪さをすることはありません。
しかし膝裏にある、膝窩筋(しつかきん)・半膜様筋(はんまくようきん)という2つの筋肉は半月板に付着していて、緊張すると半月板を後ろに引っ張る作用があります。
その結果、本来はない場所に半月板が出てきてしまうので、膝を深く曲げていくときに”挟み込み”が起きます。
膝裏にゴルフボール大のしこりがある(ベーカー嚢腫かも)
関節の中には”滑液(かつえき)”という液体があり、関節がスムーズに動けるように潤滑剤として働いてくれています。
しかし関節に炎症が起きた場合、その滑液が大量に作られてしまうことがあり、それが膝裏に漏れ出すことでしこりとして感じられるようになります。
(これをベーカー嚢腫(のうしゅ)と言います)
炎症に伴ってできやすいということもあり、変形性膝関節症に悩む方と重なる50~70歳の方に多く見られます。
【日ごろ運動不足→急な運動で膝が炎症→ベーカー嚢腫】という方が多いようですね。
変形性膝関節症や関節リウマチなどの診断を受けている
変形性膝関節症の診断がついている場合は、関節の構造そのものが変わっている可能性もあります。
変形が重度の場合は、しっかりとレントゲンなどで検査をして、適切に対処することが大切です。
またリウマチの方も、関節を深く曲げる際に痛むケースがあります。手のこわばりや変形などが主な症状ですが、膝関節の炎症もよく見られる症状です。
既に病名が付いている方は、かかりつけの病院があるかと思います。
新しく膝裏の症状が出てきた場合な、主治医の先生に報告し、指示を仰いでみてください。
次は、原因別にご自身でできる対処法をまとめておきます。
膝が痛くてしゃがめない!原因別:自分でできる対処法まとめ
安全にご自身で行える範囲の対処法をまとめておきます。
当てはまった膝裏の痛みに対して、よければ試してみてください。
膝裏の違和感への対処法①:筋肉のこわばりに対して
膝裏の違和感と関係する筋肉は、この3つでした。
- 腓腹筋
- 膝窩筋
- ハムストリングス
できればそれぞれにほぐしていきたいところですが、細かく触り分けるのは正直難しいところ…
なので、”この辺をマッサージしてほしい”というポイントだけ確認しておきます。
ゴリゴリマッサージをすると炎症を起こす可能性もあるので、優しく気持ちが良い程度で行ってください。
ハムストリングスのマッサージ
膝を曲げる時に、膝裏に浮き出るスジがわかりますか?
内側と外側に1本ずつあると思います。
その辺りを優しくマッサージしてください。
腓腹筋のマッサージ
腓腹筋はふくらはぎの筋肉なので、お風呂などでマッサージしてみてはいかがでしょうか。
膝に近い場所の方がこわばっていることが多いので、膝裏まで優しくほぐしてください。
※ふくらはぎのストレッチも合わせて行っておきましょう。
膝窩筋のマッサージ
この筋肉はかなり深いところにあるので、ご自身で触るのは難しいですし、膝裏をグイグイ押すのはちょっと危険です。
膝を曲げてシワになる部分を、ジワ~ッとゆっくり押すようにマッサージしましょう。
無理にほぐさず、他の部分をしっかり整えるだけでもOKです。
膝裏の違和感への対処法②:リンパの腫れに対して
膝裏のリンパが腫れてしまう原因は、以下の3つでした。
- 運動不足
- ストレス
- 冷え
なので、適度な運動をすれば運動不足も解消され、ストレス発散にもなり、体も温まります。
体を動かすのが苦痛でない方は、運動を取り入れてみましょう。
※意外に貧乏ゆすりも効果的ですよ。
またレッグウォーマーなどを履いて、ふくらはぎを温めてあげるのも良いですね。
半月板の挟み込みによる膝の痛みへの対処法
このケースは、なかなかご自身で対処していくのが難しいです。
先ほどの膝裏のマッサージを行いながら、半月板に付着している筋肉を優しくほぐしてみてください。
また関節のスムーズな動きを促すという意味で・・・
①丸めたタオルを用意する
②あおむけになり膝をゆっくり曲げていく
③この際、膝裏にタオルを入れて曲げるようにする
↑↑↑このように膝裏でタオルを挟むように曲げていただくと、関節の中の動きがキレイに出やすくなります。
無理のない範囲で取り入れてみてください。
※症状が治まらない場合は、病院への受診も検討しましょう。
ベーカー嚢腫による膝裏の違和感・痛みへの対処法
この場合もなかなか自分では難しいですね・・・。
ただ関節に炎症が起きたことがきっかけなので、まずは炎症を抑えることを優先しましょう。
安静を基本に、熱感がある場合は冷やすのも良いでしょう。
サポーターなどがあれば装着し、とにかく膝に負担をかけないように配慮してください。
炎症が落ち着いているようであれば、膝を安定させる筋肉を鍛えておくとベターです。
①足を伸ばして座ります
②膝裏にクッションをいれます
③そのクッションをつぶすように、膝を伸ばす力を入れます
④ゆっくり10回ほど繰り返しましょう
(1日の中で3回セットくらい行えると良いですね)
地味なわりに、膝の安定に関わる筋肉をしっかり刺激してくれます。
変形性膝関節症や関節リウマチなどの診断を受けている場合の対処法
膝裏が痛くてしゃがめない、尚且つ変形性膝関節症やリウマチなどの診断を受けている場合は、自己判断で対処するのは控えたほうが賢明です。
無理な運動は炎症を助長しますし、リウマチは関節破壊を進めてしまうかもしれません・・・。
病院で『どんな運動が良いですか?』と確認しておくと、安心して自宅でのケアができると思います。
まとめ:しゃがむと膝が痛いという方へ
膝裏の痛みでしゃがめない・・・
そんな方は意外といらっしゃると思います。
一言に”膝裏の痛み”といっても、その原因は様々。この記事でまとめさせていただいた内容で当てはまるものがあれば、よければ試してみてください。
また『いろいろ試しても良くならない・・・』、『だんだんひどくなっている』、そんな場合は病院への受診も考えてみてください。
しっかり検査して診断を受け、的を得た治療をするのが解決への近道なので(^^)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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