野球と膝の痛みのすべて【どこよりも詳しくを目指して…】

『膝を痛めてしまった・・・』

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膝の痛みによって、満足に野球ができていない方は意外といらっしゃるのではないでしょうか?

  • なぜ痛くなってしまったのか
  • 今膝はどんな状態なのか
  • どうすれば痛みが治まるのか

そんな不安を感じていることかと思います。

そこでここでは、膝関節の特徴と野球の競技特性を照らし合わせながら、痛みの原因と、自分でできる対処法について詳しくまとめさせていただきました。

少し踏み込んで説明していますので、よければ最後まで覗いていってください。

野球で痛めてしまう理由:膝関節の特徴を知ることが予防につながる

まずは、なぜ膝関節を痛めてしまうのかを確認しておきましょう。

※関節の構造や特徴を知ることが、予防への第一歩です。

膝関節の特徴:不安定な関節

膝関節は、脛骨(けいこつ)という骨の上に大腿骨(だいたいこつ)という骨が乗っているだけの不安定な関節です。

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引用元:ネッター解剖学アトラス(原著第3版)P497 株式会社南光堂 著者:Frank H.Netter

他の関節のように噛み合っているわけではなく、積み木のように骨が重なっているだけなので、繰り返しますが”非常に不安定”という特徴をもっています。

この不安定さを補うように、関節の中に2本、関節の内側と外側に支柱のように2本、前後にも強靭な靭帯があり、関節を守っています。

さらに関節の中にはクッション材としての半月板と関節軟骨が存在し、一番外側には大きな筋肉が膝の動きをコントロールしています。

(結構複雑になっているんです)

”不安定性”がゆえに、周りのガードも厳重ということですね。

一見不安定で良いところがないような膝関節ですが、その不安定さがゆえに、大きな屈伸の動きを可能にしています。

そして、ココが大事なポイントなので協調しておきます。

膝関節は、屈伸運動が得意な関節です

(これが、膝を痛めやすい理由へとつながっていきます)

膝を痛めやすい理由①:屈伸運動は得意だが、ひねりは苦手

膝関節は屈伸運動が得意な関節ですが、ひねりや横に折れるような動きは苦手です。

なので、屈伸運動以外の動きを要求されたときに、膝は耐えられず悲鳴を上げることになります

本来ひねりはどこの関節が行うのかというと・・・

足関節・股関節・体幹です

この部分が十分にひねれなくなると、膝にひねりが加わるようになり、痛めてしまうということです。

”膝をひねる”

想像しただけでも、痛そうじゃないですか?

また『屈伸運動が得意』と言いましたが、負担なく屈伸するにも、1つ条件があるんです。

膝を痛めやすい理由②:屈伸運動が膝への負担になる場合もある

膝が楽に屈伸運動をするには、”体の重心が膝の近くにある”という条件が必要です。

例えば・・・

・この姿勢から立ち上がる際は、そこまで力が要らないはずです。

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・しかしこちらの姿勢から立ち上がるとなると、かなり力が必要になります。

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重心と膝の位置に注目していただければ一目瞭然で、上の図は膝と重心の位置が近いので、純粋に膝を伸ばすだけで体を持ち上げることができます。

それに対して下の図は、重心が膝に対してかなり後方にあるので、重心を前に移動させながら膝を伸ばすことが要求されます。

  • 重心をただ持ち上げればいい ⇒ 『楽』
  • 重心を持ち上げつつ、前にも移動させなければいけない ⇒ 『つらい』

このように、膝の仕事が1つ増えるだけで、負担はかなり大きくなります。

膝を痛めてしまう方の多くは、猫背で背中が丸くなっていたり、上半身を少し反り気味にしている場合が多いです。

このような場合、重心が膝の真上ではなく後ろにあることが多いため、どんな動作をする際も膝には負担が加わることになります。

野球で膝を痛めて病院に来る方をみると(待合室の様子)、皆さん背中を丸めて背もたれにもたれ、ほぼ真下を見ながらスマートフォンを見ていることが多いです・・・。

丸くなった姿勢が定着した状態で野球をすれば、膝を痛めてしまうリスクは何倍にも高くなります。

スマートフォンを見ること自体は問題ないですが、そのあとのケアをしっかりしておくことが大切です。

※背中をしっかり伸ばしておくなど。


  • 股関節や体幹が固く、膝にひねり運動が要求されてしまう
  • 重心が後ろにあり、膝に常に負担がかかっている

この2つが、主に野球で膝を痛めてしまう原因になります。

次はポジションなど、野球で膝を痛めやすい場面を確認しておきましょう。

ここまで説明させていただいたことは、体や動き方に問題がある場合のことを対象にしています。
走塁時の接触による怪我やボールが当たったことによる打撲などの場合は、また話が別になります。

野球で膝を痛めてしまうのはどんな場面?当てはまるものはありますか?

野球のどんな場面で膝を痛めやすいのかを、少しまとめておきます。
当てはまるものがあるか、目を通してみてください。

ピッチャーで膝を痛めてしまうのはどんな時?

ピッチャーは軸足の膝で溜を作り、そこから反対の足を踏み出していきます。

この溜ること自体はそこまで膝の負担にはならないのですが、体重を移動させる際、軸足で”グッ”と蹴り込む癖を持ってる方がいらっしゃいます。

※蹴って体重移動をしようとしてしまう。

体重移動の際、軸足の膝は若干曲がり、そのまま体重を踏み込む足に移動していきますよね?

実は、膝が少し曲がった状態というのは、靭帯が緩んで関節がとても不安定な状態。そんな時に”ギュッ”と踏み込めば、膝関節は簡単にズレてしまいます・・・。

そしてこのズレが繰り返されることで、膝への負担は蓄積されていきます。

軸足の膝の力をスッと抜くだけで、体重は自然と踏み込む足に移動していくはずです。無駄な力が入っていないスムーズな重心移動を目指したい方は、軸足で強くけらないことを少し意識すると良いかと思います。

大谷投手も、軸足で蹴るような動作は一切していません。
スッと力を抜いて下に沈みながら、踏み込む足へと重心を移動しています。

またピッチャーは、踏み込んだ足の膝にも負担がかかります。

この場合、つま先と膝の向きがズレていると、膝にはひねりが加わっていることになるので、痛めやすくなってしまいます

キャッチャーが膝を痛めてしまう場合

キャッチャーは言わずもがな、しゃがんだり立ったりを一番繰り返すポジションです。

先ほど説明させていただいたように、背中が丸く重心が後ろにある場合、膝への負担はかなりのものになります。

また盗塁阻止の為に急に立ち上がったり、三盗を刺す場合は体を急にひねる必要もあります。

そう考えると、一番膝を痛めやすいポジションかもしれませんね

他のポジションの野手が膝を痛めてしまう場合

野手は、ピッチャーやキャッチャーのような繰り返す負担はありません。

しかし・・・

  • 急な方向転換
  • 無理な捕球姿勢からのスローイング
  • ボールに飛び込む

などの動きも多く、その際は膝に負担がかかることもあります。

野手の方はクロスプレーなどでも、膝を痛めてしまうことが多いです。

バッティングで膝を痛めてしまう場合

バッティングは、膝にひねりが加わる典型的な動作です。

注目してほしいのは、プロ野球で半月板損傷になってしまった選手の名前です。

松井秀喜選手、中村紀洋選手、松中信彦選手、清原和博選手・・・

皆さん球界を代表するホームランバッターばかり。

ここから何が言えるのかというと、”地に足を付けてしっかりと踏ん張って打つ”そんな方達が、膝を痛めやすいという特徴があるということです。

半月板損傷の直接的なきっかけはバッティングではないかもしれませんが、その負担が膝に蓄積されていたことは間違いないでしょう。

反対にイチロー選手のようにフラフラと構え、バッターボックスの中を自由に動くような選手には、比較的少ない怪我ということもいえます。

※ちなみに・・・

落合博満選手は、広角に打ち分けることができるホームランバッターでした。

非常にゆったりしたフォームから、長いバットの重さをうまく利用し、逆らうことなくミートする。素晴らしいですね。

注目してほしいのは、”降り抜いた後の左足”。
身体が正面を向いてしまうくらい開きます。

あれだけ足が動かせるということは”地に足を付けていない”ということの現れ。

落合選手は、死球による手首の怪我こそありましたが、それ以外はほとんど無傷と言ってもいいっでしょう。

自分の力を極力抜いて、バッドの長さ・重さを力として利用する

バッティングで怪我をする要素は全くありません。

少し余談がすぎました・・・。

すみません。

その他:野球で膝を痛めてしまう要因

1.疲労

疲労は筋肉の反応を鈍らせます。
とっさの動きについていけず、膝を痛め易くなります。

2.オスグット病

お皿の下にある骨の出っ張りは、成長期にはまだ軟骨の状態です。

太ももの筋肉がその軟骨部分についているのですが、筋肉の緊張が高くなるとその軟骨を引っ張り、剥離(はくり)させてしまうことがあります。

※剥(は)がしてしまう。

膝下に痛みを感じた場合はすぐに病院へ行き、オスグットと診断された場合は先生の指示を仰ぐようにしましょう。

野球で膝を痛めてしまった:症状別に状態を予測してみる

膝にどんな症状があるかで、膝の状態を予測してみましょう。

こちらで書かせていただいていることは、あくまで参考程度にとどめておいていただければと思います。
自己判断は危険です。あくまで正確な診断は、専門医から受けるようにしてください。

お皿の斜め下内側が痛い

ここは、

  • 縫工筋(ほうこうきん)
  • 薄筋(はっきん)
  • 半腱様筋(はんけんようきん)

という3つの筋肉が付着する鵞足(がそく)と言われる場所です。

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引用元:ネッター解剖学アトラス(原著第3版)P472 株式会社南光堂 著者:Frank H.Netter

動作中、膝が内側に入る癖がある方や、土踏まずが低かったり外反母趾傾向にある方の場合、上記の3つの筋肉の緊張が高まりやすく、この部分に炎症が起きることがあります。

(鵞足炎:がそくえん)

心当たりがある方は、病院を受診するようにしましょう。

膝裏に違和感がある

膝裏に痛みや違和感がある場合は、”関節のズレ”が考えられます。

詳細はこちらでまとめていますので、良ければ参考にしてみてください。

【変形性膝関節症の膝裏の痛み】本気で治したい方へ
【膝の痛み】正座ができない…不安になる前に試して欲しい事
『膝裏がしゃがむと痛い…』自分で解決できる?【専門家の徒然】

階段の降りる時がつらい

この場合は、関節のズレや周囲の組織が傷ついている可能性があります。

詳細は下記の記事を参考にしてみてください。

【膝の痛み】階段を降りるときがつらい!対処法のすべて

膝が抜ける感じがする

膝の力が突然抜けて崩れるような症状は”ギビングウェイ”と言われ、半月板損傷によく見られます。

他にも”ロッキング”と言って関節が急に動かせなくなったり、屈伸運動の際に引っかかりを感じる”キャッチング”などの症状もあればさらに半月板損傷が疑わしくなります。

このような症状を感じた場合は、早めに病院を受診しましょう。

炎症兆候がある

以下は炎症の5兆候と言われています。

【発赤・腫脹・灼熱・疼痛・機能障害】

引用元:理学療法士・作業療法士ブルー・ノート基礎編P.286(炎症と免疫) 発行所:株式会社メジカルビュー社 編集:柳澤健

  • 発赤(赤くなっている)
  • 腫脹(腫れている)
  • 灼熱(熱がある)
  • 疼痛
  • 機能障害(動かせない・力が出ない)

炎症が起きているということは、関節が傷ついている証拠でもあります。
同様の症状がみられる場合は、応急処置を行った後、すぐに病院へ向かいましょう。

【応急処置について】

・安静
・心臓より高い位置に上げる
・圧迫する
・冷やす

この4つをできる限り実施してみてください。

※アイシング※
15分前後を目安に、アイスノン等にタオルを巻いて冷やします。
感覚がなくなったり、痛く感じたら中止してください。


繰り返しになりますが、あくまで特徴的な症状から、予測できる範囲で膝の状態をまとめてみました。

適切な診断は、専門機関で受けるようにしてください。

最後に、野球で膝を痛めない為に必要なケア方法を紹介させていただきます。

野球で膝を痛めない為に必要なケア

膝関節の特徴を考慮した、膝を痛めないためのケア方法について、最後にまとめておきます。

膝以外の部分のひねりをしっかり出す

足関節・股関節・体幹の柔軟性をしっかりと促しておくようにしましょう。

足関節の柔軟性改善

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このように、アキレス腱をしっかり伸ばしておきます。

30秒ほど、気持ちが良い程度伸ばしてみてください。

足首をくるくる回す体操もお勧めです。

股関節の柔軟性改善

内ひねり、外ひねりをしっかり促しておきましょう。

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このような姿勢で、それぞれ30秒ほど保ってみてください。

また、”四股踏み”のストレッチをすることで股関節が深く曲がるようになり、上半身と膝の距離を近づけることができます。

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このようなストレッチも取り入れてみてください。

股関節は少し無理をすると痛めてしまう可能性があるので、あくまで心地よい程度にとどめておいてください。

体幹の柔軟性改善

脇の筋肉を伸ばしたり、しっかり身体をひねっておきましょう。

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ろっ骨は12本あり、それぞれが意外と大きく動きます。

図のようにストレッチをした状態で深呼吸をして、ろっ骨を大きく広げるのも効果的です。

膝を守る筋肉を鍛える

有名な大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は、膝を守るために大切な筋肉になります。

少し地味ですが、以下のような運動を実施してみてください。

①足を伸ばして座ります

②膝の下にクッションや丸めたタオルを入れます

③クッションをつぶすように膝を伸ばす力を入れていきます

④5秒ほど力んで少し休んでを、10回繰り返します。

また大殿筋(だいでんきん)や内転筋(ないてんきん)という股関節の動きに関わる筋肉も、膝の安定に役立っています。

①あおむけに寝ます

②膝を深く曲げ、膝を立てます

③お尻を持ち上げます

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④5秒ほどこらえゆっくり下ろす、これを10回繰り返します

お尻を持ち上げると、お尻の筋肉が固くなるのがわかると思います。

膝の安定や股関節を上手に使うための筋肉なので、併せて鍛えておきましょう。

その他、膝を守るために気を付けたい事

練習前にはウォーミングアップ

部活やクラブチームで行うものだけでも良いので、1つ1つ丁寧に実施してみてください。

練習後にはクールダウン

もしかしたら、クールダウンの時間を特別に作るケースは少ないかもしれません。
その場合は、トンボなどのグラウンド整備を積極的に行うようにするのも1つです。またベースを片づけたり、野球道具を整理したりするのも、体にとってはクールダウンになります。

疲れた体を徐々に落ち着かせるようにしましょう。

固い場所での走り込みは控える

固い地面は、想像以上に膝への負担になります。
自主練などをする際は、少し場所を考慮するのも膝のケアの1つです。


接触による怪我などを除き、膝を痛めてしまうことには必ず原因があります。

今回は膝関節の特徴を基に、『なぜ膝を痛めてしまうのか』についてまとめさせていただきました。

共感できた部分だけでも結構ですので、よければ実践してみてください。

まとめ:野球と膝の痛みについて

膝の痛みがあることで、野球が満足にできずに悩んでいる方もいらっしゃると思います。

  • なんとなくストレッチをする
  • なんとなく筋トレをする
  • 湿布や薬などで何とかごまかしている

今回説明させていただいた内容からすると、それだけでは少し足りない気がしませんか?

膝関節の構造的な特徴と、野球という競技特性を併せて考えることで、きっと解決策は見てきます。
この記事の中で1つでも2つでも”ハッ”と思うことがあれば、まずはそれから取り組んで見てはいかがでしょうか。

的確なケアをして、野球が思い切りできるようになると良いですね(^^)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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