サッカーによる膝の痛み:後悔しないための知識【理学療法士の徒然】

  • サッカーで膝を痛めてしまった
  • 膝の痛みでサッカーができない

そんな悩みをお持ちの方は、意外といらっしゃると思います。

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サッカーは確かに膝の怪我が多いスポーツですが、”内側・外側・前が痛い、膝崩れ、関節の不安定感”など症状は様々。

ここではそんな症状を基に、膝に何が起きているのかをまとめてみました。
また、怪我を繰り返さないために大切な事についても、紹介させていただいています。

・どんな症状の場合、病院へ行くべきなのか
その辺りについても触れていますので、よければ参考にしてください。

成長期のサッカー少年に多い膝の痛み:オスグット病

まずは、成長期に多い膝の痛みである”オスグット・シュラッター病”から見ていきましょう。

オスグットの場合、お皿の下辺りに痛みを感じます↓↓↓

IMG 4306 コピー 2 300x400 - サッカーによる膝の痛み:後悔しないための知識【理学療法士の徒然】引用元:ネッター解剖学アトラス(原著第3版)P.472 株式会社南光堂 著者:Frank H.Netter

※また膝蓋靭帯炎(しつがいじんたいえん:別名ジャンパー膝)といい、大人の方でも同じ場所が痛む場合があります。

オスグット病になるメカニズムについて

太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が緊張することで、その筋肉が付いているお皿の下の骨を強く引っ張り炎症が起きます。

成長期にはこの部分が軟骨の状態なので、引っ張られることで軟骨が剥離(はくり)してしまうことがあり、これをオスグット病と言います。

成長期は骨が急に伸びるため、筋肉がその伸びについていけず緊張を強める事が要因といわれています。

しかし・・・

姿勢不良や動き方によって、大腿四頭筋が無駄に緊張していることが原因であることも少なくありません。
この記事の後半で、予防方法を紹介させていただいています。

オスグット病の症状について

オスグット病の場合、踏み込み・蹴る・走るといった大腿四頭筋を強く使う場面で痛みを感じたり、膝をつく・お皿の下の出っ張りを手で押すなど、直接患部が圧迫されることで痛みを感じます。

【オスグット病の症状】

  • 踏み込み
  • ボールをける
  • 走る
  • 膝をつく

始めは違和感や軽い痛みを感じる程度ですが、ひどくなるとサッカーだけでなく日常生活に支障が出ることもあるため、早めに病院を受診するようにしましょう。

姿勢や動き方の指導・ストレッチ方法などを教えてくれる病院も多くあります。
またオスグット用のサポーターなどもあるため、診察の際に聞いてみるのも1つです。

サッカーに多い膝の痛み:靭帯損傷

膝には主に4つの靭帯があります。

  • 膝関節の内側を支える内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)
  • 外側を支える外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)
  • 脛骨という下の骨が前にズレないように止めている前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)
  • 脛骨が後ろにズレないように止めている後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)

サッカーに多い靭帯損傷は、内側側副靭帯前十字靭帯です。
それぞれ、説明させていただきます。

内側側副靭帯損傷について

内側側副靭帯は関節の内側を支えている靭帯で、つま先に対して膝が内側に入った場合に強く伸ばされ、損傷することがあります。

※いわゆるknee-in(ニーイン)といわれる動きです。

相手との接触で受傷することが多いですが、急な方向転換などで膝にひねりが加わった際にも痛めてしまうことがあります。

症状は・・・

  • 痛み
  • 内側に膝が入った際の不安感
  • ガクンと膝がズレるような違和感

などが確認されます。

受傷初期には炎症徴候である腫れ・熱感・赤み・痛みなどが確認されることが多いです。

靭帯が部分的に損傷しているのか、完全い切れてしまっているのかによって治療手段やサッカーへの復帰時期も変わってくるので、しっかりと診断を受けてリハビリを進める必要があります。

内側側副靭帯損傷は手術する例もありますが、テーピングやサポーターなどを装着しながら回復を待つ保存療法になることが多いです。

前十靭帯損傷について

前十靭帯損傷は、脛骨という骨が前にズレないよに止めてくれている靭帯です。

※脛骨は、膝関節を構成する下側の骨になります。

相手と接触することでももちろん損傷しますが、急な動きの切り替えし、ジャンプからの着地などで痛めることが多く、受傷時にはブチッという音を感じることもあります。

症状は・・・

  • 痛み
  • 膝がぐらぐらする
  • 関節が腫れてくる
  • 膝が完全に伸びない
  • 正座ができない

などが確認されます。

内側側副靭帯損傷同様に、初期には炎症徴候が見られます。

前十字靭帯損傷はほとんどのケースが手術対象となり、復帰までには数ヶ月かかることから少し厄介な怪我になります。

また膝への不安感・恐怖心が強く残る方もいらっしゃり、症状が治まっても最初は満足に動けないことも多いです。

こちらもすぐに病院へ受診し、現状や今後の見通しを明確にしておきましょう。

サッカーに多い膝の痛み:半月板損傷

半月板は関節の中に存在するクッション材で、衝撃を吸収して軟骨に負担がかからないようにしてくれています。
しかし、過度な圧縮や捻じれが生じると、半月板に亀裂や断裂が生じることがあります。

半月板損傷の特徴は、以下の3つの症状が確認されることです。

  • ギビングウェイ:急な膝崩れ(力が抜ける)
  • ロッキング:痛みと共に関節が動かなくなる
  • キャッチング:関節を動かすと、なんとなく引っかかる感じがする

半月板には関節の状態を感知するセンサーとしての働きもあるため、傷がついていた場合は誤作動を起こし、急に力が抜けたりする現象が起きるということです。

膝の痛みや違和感と共にこのような現象がみられた場合は、専門機関でしっかりと見てもらうようにしてください。

小さな損傷の場合は1ヶ月程で症状が落ち着くこともありますが、手術をした場合は復帰まで3ヶ月前後を見ておく必要があります。

※補足※

内側側副靭帯損傷・前十字靭帯損傷・内側半月板損傷、この3つはよく合併してしまうことがあり、これをアンハッピー・トライアド(不幸の3徴候)と呼んでいます。
この場合、復帰までには半年から1年ほどかかる場合が多いです。


既に膝を痛めてしまった場合は、競技復帰を目標に治療に取り組むことが最優先になります。

しかし、姿勢や体の使い方に問題が残っていれば、怪我を繰り返してしまう可能性も少なくありません。

次は、膝の痛を痛めないための体づくりについて、理学療法士の視点からまとめてさせていただきました。

オスグット、ジャンパー膝にならないための体づくり

まずは、オスグット、ジャンパー膝を予防するポイントからまとめておきます。

オスグット、ジャンパー膝を予防する為のポイント

オスグットを予防するためにポイントは、”いかに大腿四頭筋に負担をかけないようにするか”です。

大腿四頭筋の主な働きは”膝を伸ばす”という作用ですが、実はもう1つ、動作時には欠かせない働きがあります。

それは・・・上半身が後方に行った際、それを前に戻す働きです

もしよければ1つ試してみて下さい。

上半身を少し反り気味でスクワットをする

上半身を前傾し、地面を見ながらスクワットする

どちらが太ももの前にる大腿四頭筋がパンパンになりましたか?

おそらくの場合だと思います。

つまり、良い姿勢を意識しすぎていたり、猫背で上半身が後方に移動している方は大腿四頭筋への負担が大きく、オスグットやジャンパー膝になりやすいということになります。

少し極端ですが、1つ例を挙げてみます。

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ジャンプから着地する際、このような姿勢は膝への負担が大きくなります。

理由は、上半身が膝に対して後ろにあるからです。

ではこの着地姿勢の場合はどうでしょうか?

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上半身の中心が、膝の上に来ています。

この状態であれば、大腿四頭筋への負担は少なく、股関節の大きな筋肉が衝撃を吸収してくれるようになります

このような動きが身につけば、大腿四頭筋は無駄に緊張する必要がなくなり、オスグット・ジャンパー膝の予防につながるということです。

オスグット、ジャンパー膝を予防するには

では具体的には何をすればいいのかを、紹介していきます。

【背中を伸ばす】

まず、背中が丸まり重心が後方に移動していることが多いので、背骨をしっかり伸ばすストレッチをしていきます。

IMG 4205 e1526519330303 300x400 - サッカーによる膝の痛み:後悔しないための知識【理学療法士の徒然】引用元:運動能力は背骨で決まるP.39 株式会社マキノ出版 著者:齋藤 應典

このように背中を伸ばし、30秒を目安にストレッチしましょう。

図のようなストレッチポールは高さがあるので、バスタオルなどを丸めて入れるだけでもOKです。

【膝への負担が少ない動きの練習】

柔軟性がしっかり確保出来たら、次は先ほどのジャンプの着地姿勢をスムーズにとれるようにしていきます。

①膝の上に上半身を置いた着地姿勢をつくります

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②一度まっすぐ立ち上り、再び着地姿勢に戻ります
(スッとスムーズにできるまで繰り返しましょう)

③少し慣れたら、軽くジャンプをしてこの着地姿勢に戻る練習をしていきます

④ぐらつくことなく、自然に着地姿勢が作れるまで繰り返していきましょう

この着地姿勢の場合、膝の大腿四頭筋ではなく、股関節の大殿筋(だいでんきん)・内転筋(ないてんきん)といった大きな筋肉を、しっかり使うことができます。

股関節の筋肉が使えるようになると、膝への負担を大きく軽減することができます

オスグットで来院される患者さんを見ていると、待合室では背中を丸めてスマホを見ていることが多いです。
またお話を聞いてみると「ゲームが好き」、「読書が好き」というように、丸い姿勢になりやすい趣味をお持ちの方が多です。

上半身が後方に移動すると大腿四頭筋への負担が増える・・・。

このような趣味をお持ちの方とオスグット。何か関係があるような気がしませんか?

※ジャンパー膝についての詳細は、こちらでまとめています。

【膝の痛み】ジャンプと着地がつらい⇒意外すぎる2つの原因とは

膝の靭帯損傷・半月板損傷を予防するために

靭帯損傷・半月板損傷などは相手が絡んでくることも多いので、自分ではコントロールできない部分もあります。

しかし、実際に怪我をしやすい選手もいれば、そうでない選手がいることも事実。
その違いを深く掘り下げていくと、予防方法が見えてきます。

まずは結論から・・・(すごく抽象的な表現になりますが)

体を柔らかく思いのまま使いこなすこと

これを踏まえて、読み進めていただければと思います。

膝を痛めない為に:見本となる選手をチェック

まずは見本となる選手の動きを見てみましょう。

ネイマール選手です↓↓↓


ネイマール選手の動きの特徴は・・・

・フットワークがとにかく軽く、地面に足をついている時間が極端に少ない

これにつきます。

膝の怪我の多くは、地面に足がつき、その足が支点になっているときに生じます。空中でどんなに強く接触されても、そこで膝が捻じれるようなことはありませんよね?

シュート体勢に入っている場合の軸足や着地の瞬間など、足をついているときに外力が加わることで、膝にズレ・ひねりが加わり怪我をするということです。

つまり・・・

軽いフットワークが身につけば地面と足が接触している時間が少なくなるため、怪我をする確率が少なくなる。

ということになります。

では軽いフットワークを身に付けるにはどうればいいのか・・・。

そのポイントは、2つあります

ポイント①:体幹の左右への切り替えの速さが重心移動の速さにつながる

重心移動の9割以上が体幹で行われている”といわれています。

そして人間の体の構造上、体幹が向いた方の足が浮きやすく、反対側が浮きにくくなるという特徴があります。

体幹を右にひねった時は右足が上りやすくなる。

ネイマール選手の動画を見ると、体幹を小刻みに左右にひねっているのがわかりますよね。

この細かな体幹の動きが素早い重心移動を生み、軽いフットワークを可能にしています。

この動きを習得するためにの練習方法をまとめておきます。

①足を肩幅に開き、鏡の前に立っていただきます
(なるべく体全体が映る鏡が理想です)

②自分の顔を見つめます

③顔は正面に向けたまま、腰を左右にひねっていきます

④少し慣れたらスピードを上げていきます

⑤肘を曲げ・膝も軽く曲げ、走るように素早く腰を左右にひねっていきます

しっかりと骨盤が動かせるようになれば、自然と足がこの動きに連動してくるようになります。

そこまで膝に負担がかかる動きではないので、膝を痛めてしまった方も、取り入れることができる運動かと思います。

※補足※

人は大事なものに自分の胸を向ける習性があります。

相手としても胸の向いた方向を進行方向と勘違いするため、体幹の左右への切り替得が早くなると、それだけ相手を翻弄(ほんろう)することができます。

ドリブルで相手を抜いていく、パスコースのマークを外すなどといった時にも、役立つ動きにになります。

ポイント②:腕と体幹の連動性向上が、さらにフットワークの軽さを生む

動画を見ると、ネイマール選手は腕をしっぽのように動かし、重心移動に使っているのがわかります。

腕の動きと身体の動きにも深いつながりがあり、それは・・・

⇒”腕を後ろに引くと、体幹もそちらに移動する”ということです。

※右腕を後ろに引くと、体幹も右に向きながら右に移動する。

特に相手と相対した場合などは、この腕の動きが体幹を素早く動かすポイントになり、軽いフットワークを生んでくれます。

そして繰り返しになりますが、軽いフットワークとなることで、相手選手と接触した場合にも怪我をする可能性を減らすことにつながります。

この動きの練習方法は・・・

①肩幅に足を開いて立ちます

②肘を曲げ、左右の腕を交互に大きく前後に動かします

③その際、後ろに引いた腕の方に体幹が移動するようにします

④腕の振りをできるだけ早くしていきます


繰り返しになりますが、靭帯損傷や半月板損傷は、支点となっている足に衝撃が加わった場合に起こることがほとんどです。

軽いフットワークというのは、膝の怪我を予防するうえでの大切な要素になります。

まとめ:サッカーと膝の痛みについて

もちろん膝を痛めないためには、膝周りの筋力を鍛えておくことなども大切です。

しかし、何度も繰り返しになりますが、サッカーでの怪我は接触によるものが多いので、”筋力をいくら鍛えても直接的な予防にはつながりにくい”ことも事実。

であれば、少しでも怪我の確率を減らせるように、動き方を見直していくほうが現実的ではないでしょうか?

  • サッカーで膝を痛めることが多いので予防したい
  • 現在怪我をしていて、自身を持って競技復帰したい

そんな方は、筋力や柔軟性以外の部分にも、少し目を向けてみてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

筋力があればそれだけアドバンテージになりますし、競技復帰にとっても最低限の筋力は必要です。
 
 
 
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