【変形性膝関節症の膝裏の痛み】本気で治したい方へ

変形性膝関節症膝裏痛み
いったい何が原因で、どうすれば楽になるのでしょうか。

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変形性膝関節症の病態を、深く深く見ていくと、そこには1つの根本的な原因が見えてきます。

症状や対処療法に惑わされず、しっかりケアしていきたい

そんな方は、是非最後までお読みいただけると、プラスになる部分があるかと思います。

変形性膝関節症による膝裏の痛みについて

変形性膝関節症の症状として、膝裏の痛みはよくみられます。
まずは、どんな場面で痛みを感じるのか確認していきましょう。

変形性膝関節症の方で膝裏に痛みを感じるのは、

  • 膝を曲げていくとき(正座ができない・しゃがめない)
  • 伸ばすとき(じっとしていて伸ばすと痛みを感じる)
  • 踏ん張るように力を入れるとき(階段の昇り・降り)

このような場面であることが多いです。

※この時、膝には何が起きているのでしょうか。

変形性膝関節症の膝裏の痛み:関節には何が起きてるの?

  • 膝を曲げていくときに痛い
  • 伸ばすときに痛い
  • 踏ん張るように力を入れるときに痛い

それぞれの場面で、膝にはどんなことが起きているのかを見ていきましょう。

膝を曲げていくときに、膝裏が痛い

膝を曲げていくときの痛みは、”膝関節の後ろの筋肉がこわばっていることが原因”であることが多いです。

筋肉の名前でいうと、腓腹筋(ひふくきん)、膝窩筋(しつかきん)、ハムストリングスなど。

他には、膝裏のリンパが腫れているときも、ジンジンする、むくみがある・だるいような感じがするなどの症状がみられます。

また、関節の中にある”関節液”が膝裏に漏れ出してゴルフボール大に膨らむ、ベーカー嚢腫(のうしゅ)というものもあり、この場合も、膝を曲げていく動きを邪魔します。

【まとめると・・・】

  • 筋肉のこわばり
  • リンパの循環低下による腫れ
  • 関節液が漏れだしたベーカー嚢腫

この3つが、変形性膝関節症の方に見られる膝裏の痛みの原因であることが多いということです。

伸ばすときに、膝裏が痛い

膝を伸ばすと痛む場合も、膝裏の筋肉がこわばっていることが多いです。

こわばっているということは、筋肉は伸びもしないし短くもならないという状態。

なので、膝を曲げた時には短くなれず邪魔になりますし、伸ばした時には伸びてくれないので痛みを感じるようになります

踏ん張るように力を入れると、膝裏が痛い

踏ん張るときに膝裏が痛む場合は、関節が不安定になっていることが多いです

膝関節は脛骨(けいこつ)と大腿骨(だいたいこつ)という骨が合わさっているのですが、2つの骨の間の摩擦抵抗は極端に小さく、『氷の10倍ほど滑る』といわれています。

もうツルツルです・・・。

※膝関節はこんな感じです↓↓↓

IMG 4238 300x400 - 【変形性膝関節症の膝裏の痛み】本気で治したい方へ引用元:ネッター解剖学アトラス(原著第3版)P497 株式会社南光堂 著者:Frank H.Netter

筋力が十分あって関節の状態も良ければ、この滑りを止めることができます。しかし筋力が低下していたり変形があった場合は、関節は不安定な状態になってしまいます。

そこで「何とか関節を守らないと!」という防御反応が起き、膝裏の筋肉をキュッと固くすることで、安定性を確保しているということなんです


曲げるときに膝裏が痛む場合も、

伸ばしていくときに膝裏が痛む場合も、

主な原因は筋肉のこわばりでしたよね?

実は、この筋肉がこわばってしまう根本として、「不安定な関節を守るために、あえて筋肉を固くしている」という理由が隠れていたんです。

関節が動きすぎてしまうと、どんどん傷がついてしまいます。
だから無理やり筋肉をこわばらせて、動きにブレーキをかけているということです。

ここが、変形性膝関節症の膝裏の痛みの本質的な部分になります

なので、もう少し踏み込んでいきましょう。

変形性膝関節症の膝裏の痛みの本質とは?(ここ大事です)

変形性膝関節症の膝裏の症状に共通している原因は、筋肉のこわばりでした。

さらに、その筋肉がこわばってしまうのは、関節が不安定な状態だからという理由がありました。

いわば、”関節がこれ以上壊れないために必要な筋肉の固さ”ということになります。

機械でもそうですよね?
これ以上動くと壊れてしまうという時は、自動的にブレーキがかかるようになっています。

先ほど、”ベーカー嚢腫の場合でも膝が曲げにくくなる”と書かせていただきましたが、ベーカー嚢腫は膝関節の炎症に伴う関節液の増加が原因です。
関節が不安定な状態であれば、そりゃ炎症も起きますよね?

また、膝裏が腫れてしまうもう一つの原因として、リンパの流れが停滞しているということも書かせていただきました。
リンパは血液と違って、心臓で循環しているわけではありません。

ではなにで循環しているのか?

それは、筋肉です

筋肉の伸び縮みする刺激を受けて、リンパは流れています。
ということは、筋肉がこわばれば、リンパも腫れるということです。

【まとめます・・・】

関節には”運動と支持”という2つの役割があります。

変形性膝関節症の方は、軟骨などのすり減りから、このうちの”支持”という部分が苦手になっている、つまり、関節が不安定な状態といえます

不安定な状態のまま動いていては、関節はいずれ壊れてしまうでしょう。

なので、筋肉をこわばらせることで、”運動”という関節の役割を捨て、代わりに”支持”を優先させたということになります。

その結果、

  • 膝を曲げていくときに膝裏が痛い
  • 伸ばすときに膝裏が痛い
  • 踏ん張るように力を入れるときに膝裏が痛い

という症状が出てくるようになるんです。

※ちょっと一息コラム※

変形性膝関節症の発症率は、40代から急激に高まっていきます。
ベーカー嚢腫も40代以降に発症される方がほとんどです。
そして、2つを併発している方の割合もかなり高い・・・。

「これは偶然でしょうか・・・」軟骨や半月板などがすり減って、関節の支持性が失われていく変形性膝関節症。

不安定な関節で動いたことで炎症が起き、その結果できたベーカー嚢腫。

ここで説明させていただいたように、個人的には、共通する原因があるように思えてしょうがありません。


・・・とここまでくれば、根本の対処法がなんとなく思い浮かぶのではないでしょうか。

はじまりは、関節の”支持”という役割が破たんしてしまったことです。

そこを取り戻すことが、膝裏の痛み回復へのキーポイントになります。

変形性膝関節症の膝裏の痛みへの対処法:関節の支持性獲得を目指して

なるべく膝関節に負担がかからないように、また関節の役割を取り戻すために、4段階に分けて対処法を紹介させていただきます。

段階①:足首・股関節の柔軟性を獲得

膝関節は曲げ伸ばしが得意な関節で、それ以外のひねりなどの動きは苦手です。
それに対して足関節や股関節は、クルクルとありとあらゆる方向に動くことができます。

変形性膝関節症の方の場合、股関節と足関節が固くなっているケースがほとんど。
そうなると、膝にひねりやO脚方向の動きが要求されるようになります。

なので、まずは足関節と股関節がそれぞれの役割を果たすことができるよう、しっかり柔軟性を出していきましょう。

足首のストレッチ

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反動を付けずに、この姿勢で30秒ほどアキレス腱を伸ばしてみてください。

※また足首をくるくる回す体操を併せて行うとベターです。

股関節のストレッチ

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股関節を深く曲げられるようにしておきましょう。

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外にひねる動きもしっかり出しておきましょう。

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後ろへの柔軟性も促しておきます。

※それぞれ、30秒ずつゆっくり伸ばしてみてください。

膝周りに痛みが出る場合は、そのストレッチは控えましょう。

段階②:お皿のマッサージ

この後の筋トレに備えて、お皿をマッサージしながら軽く動かしてみましょう。

①膝を伸ばして座る
(伸びきらない方は、膝の下にクッションなど入れて支えてあげてください)

②足の力を抜いて、お皿をマッサージしたり、動かしていきます
(力が抜けていれば、動くはずです)

お皿は膝関節が動く際、一緒に動きます。
ここに固さがあると、膝も思うように動いてくれません。

段階③:筋力トレーニング

膝の安定のために鍛えておきたいのは、この3つの筋肉です。

  • 大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
  • 大殿筋(だいでんきん)
  • 大内転筋(だいないてんきん)

大腿四頭筋の筋トレ

有名な筋トレです。

①膝を伸ばして座ります

②膝下にクッションを入れます

③そのクッションをつぶすように、膝を伸ばす力を入れます

④力を入れた時に、お皿の上の筋肉が引き締まるのを目で見ながら行ってください

⑤5秒ほどこらえて力を抜くのを1回として10回繰り返します

(1回でたくさんやるよりも、1日数回にわけで実践してみてください)

膝の安定性を語るうえで欠かせない筋肉なので、痛みのない範囲でしっかり行いましょう。

大殿筋・大内転筋の筋トレ

この2つの筋肉は、歩くときに膝を守るように働いてくれます。
1つの運動で2つとも鍛えられるので、よければ実践してみてください。

①あおむけに寝ます

②両ひざを曲げられるだけ曲げ、膝を立てます
(曲げると痛む場合は、痛まないところまででOKです)

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③お尻を高く上げていきます

④この時、お尻の筋肉が固くなっているのを手で感じてみてください

⑤持ち上げたところで5秒こらえて下ろすを1回として、10回を目安に繰り返します

(こちらも、朝・昼・晩など、1日数回に分けて続けてみてください)

やみくもにお尻を挙げても、狙ったところは鍛えられにくいでの、しっかし膝を曲げて行ってください。


最後に膝裏を見ていきましょう。

段階④:膝裏のマッサージ

段階①~③で、膝の安定性を高めてきました。
ここで初めて、膝裏をほぐしていきます。

①膝を曲げる

②膝裏のシワのよる部分を優しく揉みほぐしていく

以上です。

固い場所や気持ちが良い場所を探しながら、ゆっくりほぐしてみてください。

膝裏は神経・血管・リンパなどが集まっています。
ゴリゴリ揉まず、ゆっくり押していくようにマッサージしましょう。


段階①では、膝に無理がかからないように、足関節・股関節の動きを出していきました。

段階②では、膝の動きが良くなるように、お皿の柔軟性を促しました。

段階③では、膝の安定性に関わる筋肉に刺激を与えました。

そして段階④では、膝の安定性を促したうえで、膝裏のこわばった筋肉をマッサージしていきました。

おそらく、いきなり膝裏をマッサージするよりも、だいぶ筋肉のこわばりがほぐれているはずです。

大切なのでは、膝裏の筋肉のこわばりを落とすことではなく、”関節の状態を整えてあげて、膝裏の筋肉が固くなる必要をなくしてあげるということがポイントになる”ということを、なんとなく覚えておいてください。

※この①~④までの流れは、今後の予防にもつながります。

関節の安定という意味では、サポーターなども有効な手段です。
手元にある方は、是非装着しましょう。
知識がある方は、テーピングも有効です。

最後に、実際に変形性膝関節症で膝裏に痛みを訴えていた患者さんとのやり取りを、紹介させていただきます。

実例紹介:変形性膝関節症で膝裏の痛みを訴えた患者さんの一例

この方は60代女性。
体型はやや大きめで、脚の筋肉はパンパンに張り、もちろん膝裏の痛みも訴えていました。
「何とか注射や手術以外の治療法で治したい」ということで病院を受診。

患者さんの希望は、「膝をもう少し曲がるようにしてほしい」、「仏壇の前で正座したい」ということでした。

早速、運動療法開始です。

まず初めにやったことは、ここで説明させていただいた通り、足関節と股関節の柔軟性を出していくことです。

次にお皿を動かしていきます。
この方は膝が完全に伸びきらなくなっていたので、膝下にクッションを入れて行いました。

そして筋トレをして、最後に膝裏をほぐしていきみました。

その結果、正座まではできませんが、膝がかなり曲げられるようになりました。

しかし、その後のリハビリは停滞状態。そこまでの回復は見られるものの、正座まではなかなかできません。

そこで先生に相談してみると、「膝をできるだけ曲げてレントゲンを撮ってみよう」ということになり、痛みが出るところまで正座をした状態でレントゲンを撮りました。

その結果は・・・骨と骨の接触
変形が進み、これ以上は曲がらないだろうという結論に至りました。

患者さんは落ち込んでしまうかと思いきや、こんな風に言ってくれたんです。

先生には良くなるところまで良くしてもらった。
リハビリの前までは、どうして痛いのかわからず不安だったけど、今回原因もはっきりしたから気持ちも楽になったよ。
先生に教えてもらった体操を順番通り続けるね。

結局この方は正座獲得までには至りませんでした。
しかし、自分の膝の状態がわかったことで、気分が楽になったと話してくれました。

この方のリハビリは関節の失われた支持性を取り戻すことを中心に、運動療法を行ってきました。
その結果、筋肉のこわばりによる固さは取り除くことができました。

筋肉のこわばりによる固さを最大限取り除いてあげることで、骨と骨の接触という、この方の膝の限界が判明したんです。

皆さんの膝が、どこまで良くなるのかは正直わかりません。
しかし、すべきことをした結果、本当の膝の状態が見えてくるはずです。

『私の膝はどうなってしまったのか・・・』と不安になる前に、共感できる部分が少しでもあれば、1つでも良いので取り入れてみてください。

まとめ:変形性膝関節症で膝裏の痛みが気になる方へ

膝裏はいろいろな組織があってとても複雑です。
なので、1つ1つほぐしていくのは正直現実的ではない気がします。

ここでまとめさせていただいたように、膝裏の筋肉のこわばりには”関節の支持性低下・不安定性”が共通する原因であることが多いです。
関節を安定させてあげるだけで、体は想像以上に応えてくれるものですよ。

膝裏が痛むからと膝裏をほぐしたくなる気持ちもわかりますが、急がば回れです。
本質を理解して的確なケアをしていくことで、本当の意味での回復が見込めるかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

何とか痛みを克服していきましょう!

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・『膝裏がしゃがむと痛い…』自分で解決できる?【専門家の徒然】
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