- 膝の痛みをなくしたい
- 膝の筋力をつけたい
- ダイエットしたい
スクワットを筋トレとして取り入れる理由は様々かと思います。
しかし、実はスクワットは諸刃の剣。
上手に行えば筋力を効率よく鍛えられますが、一歩間違えれば膝を痛めてしまう可能性もあります。
ここではスクワットの基本と抑えながら、以下の3点を中心にまとめてみました。
- 危険なフォームと理想のフォーム
- 抑えておきたいスクワットのチェックポイント
- 変形性膝関節症の方に試してほしい、スクワットを上手に行うためのコツ
スクワットで鍛えられる筋肉はどこ?それはフォームによって変わります
ただスクワットをしただけでは、膝を痛めてしまう可能性もあります。
また狙った筋肉以外を鍛えてしまい、思ったような効果が得られないというこもあり得ます。
まずは、スクワットの基本を押さえておきましょう。
太ももの前の筋肉を鍛えるスクワット:ちょっと危険なフォーム
膝への負担は、重心と膝関節の位置が大きく関係しています。
例えばこのスクワット姿勢・・・
膝の真上に重心がありませんよね?
こうなると大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という太ももの前の筋肉への負担が大きくなります。
⇒膝にも大きな圧力がかかるため、痛めやすくなります。
スクワットで膝に痛みを感じる場合、このフォームになってることが多いです。
『とにかく太ももを鍛えたい!』という方にはオススメですが、膝に不安がある方には危険なフォームといえます。
お尻や太ももの筋肉をバランスよく鍛えるスクワット:負担の少ないフォーム
次は、この姿勢を見てみてください。
膝の真上に重心がありますよね?
この状態であれば、それほど大きな力を発揮しなくても姿勢を保つことができます。
大腿四頭筋が姿勢を保つ必要も少なくなり、その代わりお尻の大殿筋(だいでんきん)や、太ももの後ろのハムストリングスという筋肉も一緒に働きます。
ということは・・・
⇒ももの前も後ろも、お尻の筋肉もバランスよく鍛えられるということです。
※少し一息・・・
馬などの四つ足動物は、お尻の筋肉がかなり発達しています。
重心が後ろ脚より前にあるので、しっかりお尻の筋肉を使えるんですね。
人間も一緒で、重心が前に行くほどお尻の筋肉が運動に参加してくれます。
反対に重心が後ろにある場合は、お尻はたるんたるんに・・・。
太ももの前や外側ばかりか鍛えられて、ハリを感じるようになります。
次は、一般的に言われている”膝に負担をかけないためのスクワットのチェックポイント”をおさらいしていきましょう。
理想のフォームと組み合わせることで、膝への負担をグッと減らすことができます。
スクワットで膝に負担をかけないためのチェックポイント
フォーム以外にも、気を付けておきたいポイントをまとめておきます。
つま先よりも膝を前に出さないようにする
つま先より膝が前に出ているということは、膝を深く曲げているということ。
上半身を後ろに残したままのスクワットでは膝が前に出やすくなるので、フォームの確認と一緒に、膝の位置もチェックしてみてください。
つま先と膝(お皿)の向きを揃える
つま先と膝(お皿)の向きがズレているということは、膝関節にねじれが生じているということです。
そのままの屈伸運動は膝への負担も大きくなるので、このポイントもチェックしてみてください。
深くしゃがみすぎないようにする
当たり前ですが、深く膝を曲げるほど負担も大きくなります。
またしゃがむ動作に近くなるので、股関節や足関節、また腰の柔軟性も必要になってきます。
痛めてしまう可能性が高くなるので、膝の曲げ具合は体力や痛みと相談してください。
いったんまとめ:膝に負担をかけないためのスクワット
膝への負担が少ないスクワット方法をまとめると・・・
- 体を少し前傾し、膝に重心を近づける
- 膝を曲げた時は、つま先より膝を前に出さないようにする
- つま先と膝の向きを揃える
- 深く曲げすぎない
この4つのことが大切になります。
しかし・・・
頭ではわかっていても、”実際やってみると難しい”という方が、ほとんどではないでしょうか?
特に変形性膝関節症の方は、膝に負担がかかる動き方が身についてしまっている事が多いで『頭ではわかっていでも、思うように体が動いてくれない』というケースが多いです。
”ではどのように体が動けばスクワットを効率的に行えるのか”
変形性膝関節症の方が効率よく筋力をつけていくために必要なことを、確認していきましょう。
変形性膝関節症の方はスクワットが上手にできない方が多い・・・なぜ?
膝を痛めている多くの方には共通点があり、それは”太ももの外側・お尻・腰のラインの筋肉がパンパンに張っている”ということです。
つまり、そのラインは固くなっているので、股関節の自由な動きも妨げられてしまいます。
※このラインです↓↓↓
引用元:ネッター解剖学アトラス(原著第3版)P476 株式会社南光堂 著者:Frank H.Netter
スクワットには股関節を曲げて体を織り込んでいくような動きが要求されるのですが、股関節が固くなるとそういった細かなコントロールができなくなってしまいます。
『それなら変形性膝関節症の場合はスクワットをやらないほうが良いの?』と思うかもしれません。
確かに痛みがひどい場合は、スクワットを控えたほうが賢明です。
しかし、上手にやれば必要な筋肉を効率よく鍛えられるということもまた事実で、変形性膝関節症の悪化予防にもつながります。
ここからは、スクワットを効率よく行うための身体づくりについて説明していきます。
膝の痛み軽減にもお勧め!スクワットを上手に行うための準備運動
しつこいようですが、効率よくスクワットをするには、股関節がしっかり動いてくれなければいけません。
そのための準備運動を紹介させていただきます。
まずはお尻の筋肉をストレッチ
股関節を大きく動かせるように、カチカチに固まったお尻の筋肉を伸ばしていきましょう。
①股関節を深く曲げるストレッチ
①股関節を深く曲げます
②30秒ほどこの姿勢を保ち、反対側も同じように行いましょう
『こんなに膝がまがらない!』という方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまで曲げるのは膝ではなく股関節です。(膝はここまで曲げなくても大丈夫です)
②お尻の筋肉を伸ばすストレッチ
①片足を反対の足に乗せます
②体をゆっくり前傾させていきましょう
③お尻が張ってきたら、そこで30秒ほどこらえます
次は股関節を上手に使うための筋肉を、少し刺激してきます。
スクワットを上手に行うために使うべきは内転筋!
ここでは内転筋(ないてんきん)といわれる筋肉を刺激していきます。
内転筋は股関節を内側に閉じる作用があり、股関節を自由に動かすためには大切な筋肉です。
※この図の内ももの筋肉です。
引用元:アナトミートレイン徒手運動療法のための筋筋膜経線P.178 発行者:株式会社医学書院 著者:トーマス・W・マイヤース
内転筋を刺激していく手順は・・・
①足を伸ばして座ります
②膝の間にボールやクッションを軽く挟みましょう
③ボールやクッションを挟んだまま、お尻歩きをします
④前に進んだり、後ろに下がったりを繰り返しましょう
※この動きで、いつも固まっていた部分をしっかり緩めていきます。
以上が準備運動になります。
お尻り歩きに慣れたら、いよいよスクワットを行っていきましょう。
変形性膝関節症の方に試してほしい!膝の痛み軽減のためのスクワットのコツ
効率よくスクワットを行うポイントは、この4つでした。
- 体を少し前傾し、膝に重心を近づける
- 膝を曲げた時は、つま先より膝を前に出さないようにする
- つま先と膝の向きを揃える
- 膝を深く曲げすぎない
このポイントを踏まえてスクワットをするコツを紹介しておきます。
椅子に座っていくようにスクワットをすると、きれいなフォームになる
普通に立った状態からスクワットをすると、どうしても上半身が起きてしまい、膝への負担が大きくなってしまいがち・・・。
そこで試してほしい方法は、”椅子に腰かけていくようなイメージを膝を曲げる”ということです。
椅子に座るときは、何も考えなくても上半身を前傾しますよね?
また立ち上がるときも、しっかり頭を下げてお辞儀をしてから立ち上がると思います。
後ろに食卓の椅子などを置いておき、そこにから立ったり座ったりするようなイメージでスクワットを行ってみてはいかがでしょうか?
一気にたくさんやるよりも、1セット10回くらいを目安に、1日に何度か行えると良いですね。
膝が前に出ないための工夫。
膝が前に出ないよう、椅子などを膝に当ててスクワットをしてみるというのもオススメの方法です。
膝が前に出れば椅子は動いてしまうので、膝をその場にとどめておいて股関節を動かすいい練習になります。
体も自然と前傾してくれるので、自然と負担の少ないフォームでスクワットができます。
何も目安がなく『○○してください』ではなかなか正しい動きにはなりません。
何か物に頼るのも、オススメの方法です。
まとめ:膝の痛みの筋トレにスクワットは実際どう?
スクワットは、
- ダイエット目的で筋トレをする人
- マッチョを目指して筋トレをする人
- 痛みを和らげたくて筋トレをする人
など様々な方に有効な手段とされ、”筋トレの王様”なんて言われています。
”マッチョを目指す方から、痛みを和らげたい方まで”
この対象の幅広さは何を表しているのかというと、スクワットのやり方ひとつで大きな負荷の運動にもなり、軽い負荷の運動にもなるということです。
なので、膝に痛みがある方が何も考えずスクワットをしてしまうと、膝にかなりの負担を強いることにもなりかねません。
有効な筋トレの効果を最大限生かすために、今回書かせていただいたことを少しだけでも参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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